Tyler DuncanとJeff Foxは、Destiny開発の最前線で様々な問題に取り組んでいます。彼らはBungieのテストチームメンバーとして、スタジオ内の様々なグループと協力して、ゲームテストの編成作業を行なっています。ゲームの最新ビルドを確認しながら、テストの調整を行なうのが彼らの役目です。シナリオやアクティビティを一通りプレイし、多数のBungie社員が参加する大人数PVPセッションの編成なども行ないます。
こうしたテストはどのゲームスタジオでも行なわれており、テストの回数は多ければ多いほど良いとされています。この作業はスタジオとって非常に重要な日常業務であり、今ではそれが当たり前のものとして受け入れられているほどです。デザイナーや開発者、そしてエンジニアからマーケティング担当者まで、Bungieのチームメンバーはたびたびプレイテストに招待されます。招待された担当者は、プレイテストタブを開き、ヘッドフォンを着け、しばらくプレイして、自分の体験を他のメンバーと共有することになります。プレイ、フィードバック、コミュニケーションという基本的なプロセスは、ゲームスタジオにとって最も重要な要素のひとつです。
チームは当初、今後の休養期間を活用して整理整頓をし、ラボ周りを改善しようという話をしていました。
こうしたテストはどのゲームスタジオでも行なわれており、テストの回数は多ければ多いほど良いとされています。この作業はスタジオとって非常に重要な日常業務であり、今ではそれが当たり前のものとして受け入れられているほどです。デザイナーや開発者、そしてエンジニアからマーケティング担当者まで、Bungieのチームメンバーはたびたびプレイテストに招待されます。招待された担当者は、プレイテストタブを開き、ヘッドフォンを着け、しばらくプレイして、自分の体験を他のメンバーと共有することになります。プレイ、フィードバック、コミュニケーションという基本的なプロセスは、ゲームスタジオにとって最も重要な要素のひとつです。
これは欠かすことのできない要素であり、正反対のやり方――厳格なテスト抜きでゲームを開発する――など絶対にありえません。時間を要するこのテストと最終調整プロセスが、新型コロナウイルスのような事態が原因でひっくり返ってしまったらどうなるでしょうか? 全員がリモートワークに従事している間、こういった重要な開発作業を続けるにはどうすればいいでしょうか?
FoxとDuncanならこう言うはずです。想像力を働かせろ、と。
新しい環境への適応について語る前に、Bungieでの基本的なテスト方法について説明します。多くのゲームスタジオと同じようにBungieにもプレイテストラボがあり、そこに開発者たちが集まってゲームのビルドをテストしています。皆さんのご想像どおり、このラボは基本的に混み合っており、多くのチームがここを利用して会議を行ったり、開発の特定のエリアの進行状況に関するフィードバックを共有したりしています。それが特定のミッションの難易度をテストしているシナリオチームである場合もあれば、武器の音が思った通りの音になっているかを確認している音響チームである場合もあります。
大まかに言えば、テストは伝統的なQA(品質管理)テストとプレイテストに分けることができます。QAテストでは、デザインの解析と検証を行い、プログラムの調整を行ないます。このバグやグリッチは記録して修正する必要があるのだろうか? この挙動は意図したものなのか? 一方でプレイテストでは、意図した体験をプレイヤーに提供できるかを確認します。このイベントはプレイヤーに好ましい影響を及ぼすだろうか? この表現が誤解を与えることはないだろうか? これはプレイしていて楽しいのだろうか?
BungieのプレイテストコーディネーターであるDuncanは主に、スタジオ全体のプレイテストセッションの編成作業を行なっています。3年ほどこの会社で働いているDuncan曰く、「かなり複合的な役割」とのことです。「むしろラボのマネジャーといった感じです。ハードウェアやソフトウェアの不具合の修正を行なっているという意味では、私たちの仕事はよりIT産業に近いと言えます。テストのバックグラウンドはあるので、デバッグのやり方や、オーディオの改善方法のノウハウも持っています」編成作業も一度で終わるのではなく、複数のチームと協力してどのコンテンツをテストするかを決定し、どのチームメンバーをテストに参加させるかなど、いくつかの段階があります。
Bungieの本部が忙しくなると、Duncanと彼のチームが事前に組んだスケジュールに従ってプレイテストラボが毎日のように使用され、毎週複数のセッションが開かれるようになります。当然のことながら、通常時でもプレイテストラボはスタジオの中でも最も混雑している場所のひとつです。
新型コロナウイルスの危機に直面している今、「通常」という概念は窓から投げ捨てられてしまいました。Bungieは今年の2月、リモートワーク期間の延長に備えて、スタジオの全部門で大規模な施策を講じました。その結果、全員がスタジオだけでなく… テストからも離れることになったのです。プレイテストラボはなくなり、直接セッションに参加してプレイしたり議論したりすることもなくなりました。つまり、状況が変わったのです。
問題への対処
「とにかく悲しかったです」とDuncanは当時の気持ちを表現しています。それがスタジオでの今後の作業を禁止するというニュースを最初に聞いた時の彼の反応でした。「最初は受け入れられませんでした。私のチームは特に『いや、私たちは家にいる必要はないんだ。スタジオならいろんなことができるのに』といった感じでしたから」チームは当初、今後の休養期間を活用して整理整頓をし、ラボ周りを改善しようという話をしていました。
「私たちなら、ハードウェアを改善するようにこの状況に対応し、再編成に必要な手動的な作業もこなせると考えていました」とDuncanは言います。
チームはそれと同時に既に、プレイテストを一時的に停止されることも難しいことを理解していました。「私たちは家からプレイテストに参加する方法を模索していました。試験的に作業を行い、他にどんなオプションがあるか? 何が可能で何が不可能なのか? それを確認していきました」
家からのリモート作業をテストしていると、あっという間に問題が山積みになりました。まず、全員がリモート作業に必要な強力なマシン(PCテスト用)を持っている必要があります。そして、高額な開発キットをスタジオから持ち出すことにより、セキュリティリスクも当然ながら発生します。さらに、インターネット環境も考慮する必要がありました。テストセッションを継続するために、リモートテスターが自宅回線を使って最新ビルドを毎回ダウンロードするのは現実的ではありません。
このような制限がある中で、新たなDestinyの体験を予定通りに届けるための鍵となる、厳格なテストをスケジュール通りにこなす方法など存在するのか?
答えはクラウドにありました。
Stadiaに参入
Jeff FoxはBungieで7年間、テストリーダーとして働いてきました。FoxはDuncanや他のテストチームメンバーと一緒に、アクティビティやマッチメイキング、そしてネットワークなど、Destinyのゲームプレイの様々な要素のテスト作業に携わってきました。最新のプロジェクトでは、StadiaのストリーミングサービスでのDestiny 2の立ち上げにも関わっています。 「かなり特別な体験でした。というのも私たちはこれまで、SonyのPlayStationやXbox、そしてPCなど、従来のプラットフォーム上で開発を行なってきたからです」とFoxは言います。「クラウド上に存在するこの奇妙な最新ストリーミングプラットフォームへの参入は、これまでにない挑戦でした。一方で、その考え方に大きな刺激も受けました。QAに長く携わると、変化というものを感じなくなってしまいます。ですから、異なるプラットフォームで新たな考えに触れれば、新たなチャレンジが生まれます。そのような機会を逃す手はありません」
StadiaでのDestiny 2のリリースに伴い、Bungieの開発者とテスターにとってこのプラットフォームはより親しみ深い存在になっていきました。その体験と、使いやすさに重点を置いた作業工程が上手く組み合わさった結果、スタジオ全体に「在宅業務」という指示が出てから、テスト作業を丸ごとStadiaプラットフォームに移行するという考えにいたるまで、それほど時間は掛かりませんでした。
「Stadiaを利用して在宅業務に移行するのは、これまで行なってきた作業の中でも最も簡単だったかもしれません。実際に私たちは既にこのプラットフォーム上に自分たちのゲームを登録しており、簡単にその様子を確かめられるようになりました」とFoxは言います。
従来のテストセションでは、ビルドをテストラボ内の複数のコンソールやPCに適用して、突発的な技術的問題を調査するのにかなりの時間を要しましたが、Stadia上でのテストは比較的短時間で終わりました。
「Stadiaでは、どんな環境下でもビルドを公開することができ、それと同時に自動的にそのビルドを配布することができます。非常に容易に、最大で300のインスタンスを用意して、ボタンを押すだけですぐにゲームをプレイすることができます、これは素晴らしいことです。これ以外の方法でこのようなプレイテストを行なうには、巨大なスタジオ用意するしかありません」とFoxは言います
テストでは設定の均一性にもかなり重点を置いています。プレイテストラボでは、できる限り全員が同じ道具を使うようにしています。Foxが指摘したように、Stadiaならそれがより間単に実現できます。「全てがクラウドベースです」と彼は言います。「スタジオには物理的なハードウェアが存在しません。互換性のある様々な種類のコントローラーを使用できます。Stadiaの開発環境上で最も素晴らしい点は、文字通り、机の上にハードウェアが存在しないということです。全てがクラウド上にあるので、何も心配する必要がありませんでした」
StadiaでのプレイテストにはStadiaならではのアドバンテージがあります。プレイヤーとコーディネーターのセットアップが簡単で、ハードウェアも均一です。今まではその準備段階である程度の作業が必要でした。その理由のひとつとして、従来のプレイテストの成功が多くの場合は、長期的な習慣的作業とルーティンによってもたらされるという点にあります。チームはテストセッションのスケジュールを組み、コーディネーターは正しいビルドを使用してラボをセットアップし、全員が現在の進捗状況と、いつラボに行くべきかを理解しています。筋書き通りのルーティンというものは、長い時間を掛けて経験を積み重ねた結果なのです。
新たなシステムに移行するには、新たなコミュニケーション手段や新たな決まり事の作成が求められるだけでなく、当然、スタジオ全体をリモートで機能させるために、大きな変化を経験することになります。その点については、Bungieのテストチームは今後も注視していく必要があります。
「安定性と普通の暮らしを取り戻すという意味では、私たちはもう目の前まで来ています」とDuncanは口にします。「最初の目標は、チームに再びプレイテストをさせることでした。そこで私たちはすぐに、チームの古い決まり事やプロセスをStadiaに適応するために、移行作業を開始しました」
やるべきことはまだたくさんありますが、チームは現在までの進捗状況に手応えを感じており、このクラウドベーステストがBungieに新たな可能性をもたらしてくれると考えています。Bungieが自ら進んで順応するという意味でも、それが大きな役割を果たしているとFoxは言います。
「驚いたことに、皆がこのプロセスを理解するまでそれほど時間は掛かりませんでした。『ネットワークを経由してストリーミングしよう。きっと大丈夫だ!』と言われても、ほとんどの人は信用しないでしょう。ところが、これまでのフィードバックを見る限りでは、かなり好意的に受け止められています。現段階ではリモートワークでも大きな問題は生じていません」
Duncanは今後について、さらに前向きにとらえています。
「これによってあらゆることが変化することになります。私たちは今、新たな常識を作り上げているのです。私たちがこれまで、あらゆるチームプレイテストをラボで行なっていたからといって、その作業を丸々やめるわけではありません。ですがそのプロセスは進化し、変化していきます。私たちは常に柔軟でなければなりません」
「新たな時代の幕開けです。不可能だと思っていたことが、実現することもあります」